文学・読書

エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』を読んで

少し前に、エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』(岩波文庫)を読み終えました。エイモス・チュツオーラ(1920〜1997年)は、ナイジェリア出身の作家です。 小さい頃は家庭の事情で本人が満足いくような勉強はできず、学業を断念して労働したり軍隊で勤務し…

エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』(まだ読んでいる最中)

過去に、エイモス・チュツオーラ『薬草まじない』(岩波文庫)を読んで、これは大変面白いぞ、と思ったのですが、彼の『やし酒飲み』(岩波文庫、土屋哲訳)にはすぐに着手はできませんでした。 だけど、ようやく着手することができました。 まだ読んでいる…

今月の読書(2017年1月)

久々のブログ更新です。せっかく開設しているのだから、たまには使わなきゃ。今月(2017年1月)も今日で終わりなのですが、今月はいつになくたくさんの小説が読めました。 普段は、研究や授業に関連する理論書とか評論とかを読むことは多いのですが、なかな…

ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』読了

かなり時間がかかったのですが、ようやく読了しました。 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(新潮社、藤井光訳)。 かなり充実感はあったのですが、ズシンと来るというよりは、苦い味がじんわりと口の中に広がる感じですね。読了感は。かつ…

最近読んでる本 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』

久しくブログを更新していなかったわけですが、それは何もしていなかったからではなく、読書感想を書きたいものの、本が読み終われないからなのです。今読んでいるのは、ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(新潮社、藤井光訳)です。 この小…

伊坂幸太郎『ガソリン生活』(朝日文庫)読了

外国文学を読んだ後、今度は日本の作家の小説を読もうと思い、書店で手にしたのが、伊坂幸太郎『ガソリン生活』です。 僕は朝日文庫版(2016年刊行)を購入して読みましたが、単行本は2013年に朝日新聞出版から出ているのですね。伊坂作品は、これまでにもい…

エイモス・チュツオーラ『薬草まじない』読了!

以前このブログ上でも『薬草まじない』が面白い!ということを報告していたと思います。 (そのときの内容は、http://d.hatena.ne.jp/toyonaga_ma/20160304/1457039068 ) それがようやく読み終わりました。子がなかなか身ごもらない妻のために、主人公が家…

エイモス・チュツオーラ『薬草まじない』(岩波文庫)読んでる途中

まだ今読みかけの本なのですが、めちゃくちゃ面白いです、このエイモス・チュツオーラ『薬草まじない』(土屋哲訳/岩波文庫)。 タイトルから来るフィーリングで手に取った本です。 僕にとっての初めてのアフリカ文学なのですが、ちょっとハマりそうです。…

三浦綾子『氷点』上下巻(角川文庫)を読んで

最近読んだ本について。三浦綾子『氷点』上下巻(角川文庫)についての感想です。新年度の3年ゼミに入ってくる学生の1人が、三浦綾子の『氷点』にすごく心を揺さぶられたと言っていたので、改めて読み直してみようと思い、手に取りました。しかし、実際に…

【告知】昭和文学会・学会発表「特集 声と再現性」

告知が遅くなってしまいましたが、告知です。僕が所属している昭和文学会の研究集会で、発表することになりました。昭和文学会 2015(平成27)年度 第56回研究集会【特集 声と再現性】 ■日時:5月9日(土) 午後2時より ■会場:膻浜国立大学 教育人間科学部…

「人外に恋しても」

昨日、非常勤先である愛知教育大学で、 「人外に恋しても」 というタイトルのプレゼンをした。「国文学演習」という授業で、学生たちに研究発表をさせていて、それに対するコメントを僕がする……という演習形式の授業をおこなっていた。 扱っていた素材は、森…

最近思うこと(研究・お仕事編)

久々に、ブログを書いてみることにした。 Twitterではいろいろ呟いているが、なんか長文が書きたくなったのだ。 自分の心の中のことを痕跡として残しておくためにも、この場を借りることにする。 2014年度の授業も、まもなく終わりを迎えようとしている。今…

シンポジウム(2014年3月29日)聴講しての、雑感

先日、次のようなシンポジウムを聴講しました。日本近代文学会東海支部・2013年度シンポジウム テーマ:現代小説の進行形 文学研究にとっての創作・研究・教育 パネリスト:諏訪哲史、大橋崇行、松本和也(敬称略) 日時:2014年3月29日(土)14時〜 場所:…

「不思議な視点」で「不思議なもの」を見つけたい

拙著『戦後日本の聴覚文化』(2013年)を出した青弓社さんのHPにある「原稿の余白に」という連載コーナーに、人生初のエッセイを寄稿しました。 「不思議な視点」で「不思議なもの」を見つけたい --------『戦後日本の聴覚文化』を書いて http://www.seikyus…

【研究発表】研究実践における「境界の彼方」【日本近代文学会・東海支部】

自分が「発表者」として参加する研究会の案内です。日本近代文学会東海支部 第48回研究会 2013年12月7日(土)14:00〜 愛知淑徳大学 星が丘キャンパス 1号棟3階13D教室 http://www.aasa.ac.jp/guidance/map.html1)「全共闘運動の表象形成 「僕って何」と…

昭和文学会・秋季大会に参加して

最近、学会に参加していませんでした。 その主な理由は、時間の都合がつかなかったからです。 学会は主に土日に行われるものですが、土日というのはたいがい家庭の用事が入るものですし、校務でも土日がつぶれることがあるので、学会に参加したくてもできな…

『戦後日本の聴覚文化』

9月20日は、ほっちゃんこと堀江由衣さんの誕生日でしたが、同時にもう一つ、記念すべき日でした。 僕の初の単著が、店頭に置かれたであろう日なのです。 タイトルは、『戦後日本の聴覚文化 音楽・物語・身体』(青弓社)実際には、19日以降に書店に並び始め…

かつて堀辰雄を研究しておりました

大学のゼミとかで、卒論指導などをするときには、「せっかく卒論を書くんだったら、自分の好きなものを研究対象にした方がいいよ。じゃないと、締め切りに追われたりしながら焦って論文書いたりするときに、好きでもないものを相手にするのは、とてもしんど…

ひさびさのブログ更新

しばらくブログの更新を怠っておりましたね。理由は、……風邪を引いていてパソコンを開くということが億劫だったことと、読書もアニメ視聴もしていなかったので、書くことがなかったのです。いま幾つかの本を並行して読んでいるのですが、このあたりのものを…

体調は良くないが、仕事はまとめたい

はっきり言いまして、ここ数日、体調が絶不調でした。悪寒、頭痛、胃もたれ。……たぶん風邪だと思うんですけどね。熱も少しあり、医者から「インフルエンザの初期症状に似てはいるのだが」的なことを言われて、少しビクビクしていましたが、まあ大丈夫のよう…

『MARQUEE』と『思想』

昨日買った本。というか、雑誌。・『MARQUEE』VOL.95 ・『思想』第1066号『MARQUEE』はご存知のとおり、音楽雑誌です。お目当ては、花澤香菜特集。 今度アルバムが出るんですが、そこに参加した北川勝利さん、ミトさん、沖井礼二さんの鼎談が読みたかっ…

藤田直哉『虚構内存在』を読んだ

ブックレビューを初期のモチベーションとしていたブログの方針に立ち戻りつつ(笑)、読んだ本の感想を。 藤田直哉『虚構内存在 筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉』 (2013年、作品社)藤田さんはもうSF・文芸評論家としても結構活躍されているようです(全…

読むべき本

最近はアニメを見た感想ばかりをこのブログに書いているわけだが、元々は、読んだ本の感想を書くつもりであった。 アニメについてばかりを書いている、ということは、それだけ、読書をしていないということになる。僕が現在「これは読むべきだ!」と認識して…

Le Petit Prince 星の王子さま

とある事情により、次の本を読みました。 サン=テグジュペリ『星の王子さま』(内藤濯訳、岩波書店)実は、初めて読んだんですよね〜、この話。王子さま(=子ども)が大人の価値観や想像力を相対化していくお話……として要約することもできるけど、何かを自…

昨日の記事の訂正

昨日執筆の記事(http://d.hatena.ne.jp/toyonaga_ma/20130116/1358339629)に、誤りがあったので、訂正します。 (ちなみに、昨日の記事はもう修正済みです) 【誤】セクシーショットからのラブコメ(腹を括ったシリカと三四郎ばりに奥手のキリトによる) ↓…

趣味が出過ぎた?授業の終焉

今日は、かねてより挑戦を続けてきた授業「テクノロジーと文学」が最終講を迎えました。 シラバスはこちら。 https://portal.sugiyama-u.ac.jp/syllabus/syllabus/search/SyllabusInfo.do?nendo=2012&kogikey=41610001どういう意味で「挑戦」だったかという…

今野真二『百年前の日本語』(岩波新書)

僕はたいてい、複数の本を同時に読み進めていくのですが、いくつか並行して読んでいる本の中で、ちょっと面白そうだなあと思ったのが、 今野真二『百年前の日本語 書きことばが揺れた時代』 (岩波新書、2012年)です。僕は一応、近現代日本文学の研究者とい…

『メタフィクションの圏域』いただきました。

著者の方から、次のような本をいただきました。 西田谷洋・五嶋千夏・野牧優里・大橋奈依『メタフィクションの圏域』(花書院、2012年)内容(目次)も紹介させていただくと、 ・はじめに(西田谷洋) ・岩手県を「翻訳」する〈イーハトーヴ〉(五嶋千夏) …

平野啓一郎『私とは何か』ふたたび

このブログでも既出の平野啓一郎『私とは何か』(講談社現代新書)。 前回はわりと好意的なところを取り上げたと思いますが、読み進めていくうちにやはり、つまづくところもあったので、それについて書こうと思います。平野さんの言う「分人主義」とは、「個…

平野啓一郎『私とは何か』講談社現代新書

最近調子よくブログを毎日更新していたのですが、体調不良により、また数日ブランクが空いてしまいましたね。そんな体調不良の中、細々と読んでいるのが、平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』講談社現代新書です。 まだ読みかけなんですけどね…