最近読んでる本 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』

久しくブログを更新していなかったわけですが、それは何もしていなかったからではなく、読書感想を書きたいものの、本が読み終われないからなのです。

今読んでいるのは、ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(新潮社、藤井光訳)です。
この小説は『ロスト・シティ・レディオ』(僕は未読)でデビューしたペルー系のアメリカの作家の小説で、とても面白く読んでいるのだが(きっと訳者の訳も素晴らしいのだろう)、読書の時間がなかなか確保できず、前に進んでいかないのです。
半月ほどかかって、ようやく第一部を読み終えました(全体の5分の2ぐらいかな)。

舞台となる国は、はっきりとは示されていないと思うけど、たぶん内戦やテロのあったペルー。
主人公ネルソンはアメリカへの移住を夢見ながらも挫折し、かつて政府に目をつけられて投獄されてしまったこともある劇作家ヘンリーたちと一緒に、劇をしながら国内を巡回するという物語(少なくとも第一部の段階では)。
ただ気になるのは、この小説は「僕」による彼らへのインタビューによって構成されており、ヘンリーたちによる回想(しかも喪失感に溢れた)が、過去の彼らの巡回を浮き彫りにしていくという語りの形式の中で、何か決定的なことがまだ語られずにいる……ということなのです。
おそらく第二部以降を読み進めていけばわかるのですが。

しかしながら、この小説は面白い。
ネルソンやヘンリーたちの物語、ヘンリーと彼の投獄時代の仲間(恋人)との物語、ネルソンとその周辺の人物たちとの物語、そして彼らと「僕」とのコミュニケーションの物語。
様々な物語の重なり合いが醸し出す雰囲気が、僕の中の好奇心(文学が好きという気持ち)をくすぐってくれます。

早く読み終わりたいし、読み終わった後はじっくりと余韻に浸って、噛みしめるようにしてその思いをブログに綴ってみたい。