国際文化フォーラム、おわる

昨日、このブログでも以前ご紹介した、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部のイベント「国際文化フォーラム」が開催されました。

「メタモルフォーゼ 〜「変身」する私たち〜」というテーマで、3人の発表をうかがいました。
僕はタイムキーパー的司会と、企画趣旨説明を担当しました。

最初の発表は、 内藤理恵子先生による「オタク文化における「変身」の変遷」。
特撮ものや魔法少女のアニメなどにおける「変身」をとりあげたり、コスプレについてとりあげたり、「男の娘」についてとりあげたり。
まさにタイトル通りの発表です。
ウルトラマンを「仏」としてみるとか、戦隊ものの変身場面は「歌舞伎」的であるとか、もう、一つ一つ興味深い話なのですが、内藤先生がお話ししたことは、ご自身のHPで確認することができます。
興味がある方は、
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/06/blog-post_11.html
を御覧ください。
なお、内藤先生はこのブログも見ていただいているみたいで、恐縮です。

続いての発表は、水島和則先生による「人種転換Racechangesの想像力 〜「変身」の精神分析に向けて〜」。
アメリカの大衆文化の源流にあるミンストレル・ショーをとりあげ、アメリカ文化を考える上では切り離せない「人種」と「変身」のむすびつきをご説明いただきました。
ローディガーやフランツ・ファノンの議論を押さえながら、「白人が黒人に同化することで黒人に取って代わるという、黒人の象徴的殺害」と「黒人が紋切り型の黒人の役柄を演じることによる、殺害の完成」、それに対する「メランコリー」などをご提示いただきました。
率直に言って、面白かったです。というか、アメリカ文化の底に流れる“暗さ”を垣間見て、「日本文化の場合はどうなんだろう」という問題点を突きつけられ、刺激的でした。
トニー谷とか、ハリー細野とか、「擬似的日系人」の問題も、僕にとっては気になるところでしたし。
(ハリー細野の話は、シンポジウムの途中でしようと思っていたのですが、議論が白熱していて、食い入る余地がありませんでした……)

最後の発表は、 北岡崇先生の「変わらないものだけが変わるのか?」。
北岡先生は校務などで大変お忙しい中、発表を引き受けていただきました。
哲学の話だったわけですが、僕自身が哲学というものを全く苦手にしているので、良い聞き手ではなかったかと思います。
そんな中でも、「変身願望とは、『あるがままの自分自身を生きたい』という欲望である」という説明には、なるほどと頷かされました。


今回のイベントは、テーマのわりに、思ったほど来聴者が集まらなくて、少し残念でした。
だけど、ブログを見て、東海高校OBのH君が聴きに来てくれました。
感激です。
彼は教育実習中で地元の方に戻って来ていたので、立ち寄ってくれたとのことです。
僕は設営やら撤収やらで、彼とはあまり話せなかったけれど、彼もいろいろ頑張っているということを知ることができ、励みになりました。
H君も将来に向けて目指してがんばってください。