「けいおん!」シンポジウム、一昨日終了!

一昨日(9月8日)は、あいち国際女性映画祭で、映画「けいおん!」の上映とその後のシンポジウムに「パネリスト」として参加してきました。
いやぁ、終了してホッとしました。
終電にも間に合い、朝帰りすることもなくホッとしました。
今までずっとパネル発表やディスカッションの準備をしてきて、家の中でも自分の世界に閉じこもっていたので、昨日は丸一日、家族サービスをしました。
……といっても、子どもと遊んで過ごしただけですけどね。大したことはしていません。

さて、あいち国際女性映画祭では、女性監督の作品を上演したり、監督や俳優、評論家や研究者や市民などが登壇して講演したりディスカッションしたりということを行っているのですが、アニメ映画を上映したのは初めての試みだったようです。
映画「けいおん!」は女性監督だし、上映するタイミングも良かったようですね。
もっとこの映画祭で、アニメ映画が多く取り上げられればいいのに、と僕なんか素朴に思ってしまうんですけど。
でも、女性のアニメ監督って少ないのかな。もっと増えないかな。

で、一昨日のシンポジウムですが、……ちょっと僕、時間配分を間違えて、喋りすぎたかもしれません。反省。
あと、最初の一言が大切だと思い、第一声を「大きいお兄さんが〜」にしたんだけど、あんまり受けなかった。反省。
あずにゃん」とか「さわちゃん」という愛称を、愛を込めて連呼しすぎた。でもこれは反省しない。「中野梓」とか「山中さわ子」だなんて、よそよそしすぎるじゃないですか。……反省すべきは、秋山澪に対する親しみを言語化できなかったことだ。これは反省。
……まぁ、冗談はこのくらいにして。

他のパネリストはフェミニズム批評/ジェンダー批評を専門にしていらっしゃる方たちだと思うのですが、普段僕はそのような批評スタイルを自分のものとはしていません。
普段の僕は、「虚構的なものをどのように現実的に捉えていくか」という問題意識で研究したり読書したりしています。
そうした自分のスタイルを「けいおん!」論に適用させた結果として、「『男性オタク』と位置付けられる人たちの(性的)想像力のあり方について話題にする」というシンポジウムでの僕の態度が導き出されました。
以下に記しますのは、事前に僕が用意した「発表要旨(のようなもの)」です。

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 アニメ『けいおん!』は、男性の登場人物がほとんど登場しない、女性(女子高生)だけの世界を描いたものとして受容され、「空気系」「日常系」などと呼ばれる現代のアニメ・マンガの一傾向を象徴する作品として理解されている。そしてその「空気系」「日常系」をめぐっては、評論家の宇野常寛の議論に代表されるような、「男性オタク」の性的欲望(「萌え」)と関係づける議論が展開され、「萌え」を駆動させる装置として『けいおん!』その他の「男性不在」の物語世界が位置づけられてきた。宇野によれば、女性しか描かれていないからこそ「萌え」が可能になるという。こうした議論には一部納得させられるところはあるものの、しかし『けいおん!』の個々のエピソード(テレビ放送版・映画版の双方を含む)に注目していくと、必ずしも宇野たちの議論のようには単純化できない様相も浮かび上がってくる。
 そこで、本シンポジウムにおけるディスカッションに先立つ私の発表では、物語世界の「外部」に置かれている(とされる)「男性」視聴者の想像力が『けいおん!』に対してどのように構成されていくかという問題を、先行論を書き換えていく形で検証していくことを目指す。
 具体的には、次の3点についての“書き換え”を試みる。
1)「空気系」の物語世界には「コンフリクト」や「ドラマ」がないと言われているが、決してそんなことはない。
2)「萌え」を喚起している「空気系」においては無時間的な空間(日常)が祝福されると言われているが、少なくとも『けいおん!』は時間の経過こそがテーマ(の1つ)である。
3)「外部」に排除されたという男性の視線は、『けいおん!』の物語世界の「内部」にちゃんと居場所が用意されている。

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上記の(1)について補足すると……、「空気系」の特徴としてよく言われている「物語性の希薄」という認識は、「物語性」という多義的(っーか、曖昧な)言葉を前提にしていてよく分からん、少なくとも僕は「けいおん!」ってすごくドラマチックだし、コンフリクトもあるし、物語あるじゃん、って思う……みたいな感じだということです。

でも、ちょっと早口だったし、僕が発言した言葉も「話し言葉」としては不適切だったかもしれない。それは十分反省しなければならない。
知ってる学生も来聴してくれたけど(ホントありがとう!〔涙〕)、僕の言いたいことがみんなに伝わったかどうか、ちょっと心配です。

まぁ、今回話したことは、学部内プロジェクトの研究同人誌に載せようかな、どうしようかな。

とにかく。来場してくださった方にお礼申し上げます。また、企画運営にたずさわっていらっしゃったスタッフの方々、そしてパネリストの方々にお礼申し上げます。
ありがとうございました!