声優さんという求心力 その2

昨日書いた内容の続きです。

声優さんの人気が高まったのは今に始まったわけではないですし、声優さんのビジュアル面が多くのファンを惹きつける魅力になっていることは、わざわざ僕が言うまでもないことです。

そもそも、アメリカでMTVが登場し、音楽ソフトのプロモーションのメディアがラジオからテレビに移行した時代から、発声者の身体を視覚的に把握したい欲望は、私たち聴取者の中にはあったのです。
ただ、声優さんたちの場合、その声が、アニメやゲーム等のキャラクターの身体を喚起すると同時に、声優さんたちの身体をも喚起するわけで、アニメファン=聴取者は、その両方の身体の間を、行ったり来たりしながら楽しんでいるわけですね。

いずれにせよ、声優さんたちが声優さんとして発信する何かを求めようとするファンの欲望は高まるばかりで、そうした声優さんの歌う楽曲は、当然のごとく、売れるわけです。
場合によっては、音楽専門でやっているミュージシャンの楽曲よりも、売れるわけです。

(でも、たとえば坂本真綾さんなんて、ミュージシャンとしても成功しているし、声優としても活躍しているし、彼女をどちらか一方に帰属させるなんて発想は、無理ですよね)


で、昨日の疑問。
なぜ良質なポップスのクリエイターが声優さんのもとに集まるのか。

本当だったら、雑誌やネットなどで、クリエイターたちの発言を集めて、そこから分析して答えを探し出すのが筋なのですが、そういう専門的なことをする前に、幾つかの仮説を立てることはできると思います。

【仮説1】
楽曲が売れる → 儲かる
→ 評価の高いクリエイターを集めやすい(金銭的に)

【仮説2】
楽曲が売れる → リスナーが多い
→ 多くのリスナーに聴いてほしいという音楽家の欲望を満たしてくれる
→ クリエイター側も参加したくなる

【仮説3】
楽曲が売れる → “歌手”としての声優さんの需要が増える
→ 声優さんが歌う機会が増えることにより、歌の質も向上!
→ フツーに魅力的な歌手に!
→ クリエイターの創造性をくすずり、参加したくなる

【仮説4】
従来の音楽ファンがアニメも好きになる
→ 声優さんの歌にも、質の高いものを求めたくなる
→ 需要に合わせてクリエイターが集まる

……とりあえず、4つ出しました。
1〜3は現実的かな。現実的すぎて、仮説としては安直かなあ。
僕個人としては仮説4の過程が、自分自身の実感に近いです。


でも、せっかくブログに書くんだから、ちょっと挑発的なものとして、もう一つ仮説を。

【仮説5】
アニメファンに限らず、人々は歌に「自意識や内面の発露」なんて求めていない
→ バンドを構成すると「ボーカリストの主体性」というものをどこかで意識しなければならなくなり、ちょっと不自由さを感じる
→コンテクストに即して様々なキャラを横断する声優さんの立ち位置は、様々なタイプの楽曲を作ってみたいクリエイターの創造性を刺激しまくる

……どうでしょうかね。

5つの仮説を出してみましたが、どれも的外れかもしれません。
とりあえず、もう少し考えてみます。