「女の子博物館」に行ってきました

昨日(2月17日)は学生数名と一緒に、名古屋栄のビルの中にある「女の子博物館」というものに行ってきました。これは愛知県立芸術大学のデザイン科の学生たちによる展示です。

僕がこの展示の存在を知ったきっかけは Twitter なのですが、2月16日のオープニング前から、この博物館の主催者による「女の子論」が Twitter 上で展開されていて、すごくコンセプチュアルに展開しようとしているのだなあと分かったし、いい広報にもなっていたと思います。
個人的には「?」と思うツイートも無くは無かったのですが、でも問題提起的だなあと思ったし、行ってみようという動機を妨げるものでは決してありませんでしたね。

で、行ってみたわけですが、開館して間もない時間(11時)に訪れたこともあり、我々が一番手の客でした。我々以外の客がまだ来ていないことをいいことに、言いたい放題。「これって、どういうことなのだろう?」「ん?よく分からんぞ」とか。……ま、我々としては「ゼミ」と称して展示を見に来ているわけなので、あるべき姿としてはあるべき姿なのですが、スタッフの芸大の学生さんが脇にいるなかでの発言だから、僕も少しずつ冷や汗をかき始めまして……。と言っても、僕が一番うるさかったかもしれませんけどね。

そこで、受付をしている学生(好青年!)をつかまえて、疑問点をいろいろぶつけてみました。……中には意地悪な質問(主に僕による)もあったんですけど、丁寧に応えてくださいました。一緒に行った学生たちもモヤモヤが溶けたみたいで良かったです。
やはりこういうイベントは一方通行的ではなく応答可能性があるというのが魅力的ですね。
議論のやりとりをここで再現したいのですが、まだ会期中ですし、ちょっと遠慮させてもらいます。
ただ、Twitter 上で僕が既に公開した“感想”もあるので、そのあたりについては、ここでも以下に言及します。

「女の子」の社会的・文化的な位置づけを過去〜現在へとたどっていく“テキストの提示”がこの博物館の展示のメインです。平塚らいてうの言説の登場や現代の女性向けファッション雑誌の創刊など、その時代その時代のターニングポイントに注目しながら、イメージの文化誌を展開していくというか。
ただ、僕としては樋口一葉たけくらべ』の美登利とか、谷崎潤一郎痴人の愛』のナオミとか、「女の子」の性的な側面、娼婦的な側面についても注目してほしいなあと思いました。そうすれば村上龍ラブ&ポップ』の援交少女も視野に入ってきただろうし、「コギャル」を欲望するおぢさんの想像力についても視野に入れられたと思うのだが。
また、戸川純さんのようないわゆる「不思議ちゃん」系もどこかで位置づけてほしかったような気もします。他にも、戦闘少女や魔法少女といった、マンガやアニメなどの中で生産・欲望・消費される少女像についても触れてみても良かったかも。
……だけど、欲張りというか、無い物ねだりしてもキリがないし、生産的ではないですね。「もし僕が館長だったら取り上げるのに」という仮定の話ですよ。反実仮想。

だけど、僕も学生たちも、「女の子」についていろいろと考える機会を得ることができました。そういう意味でも、行ってみてよかったです。